Vol.56 めだか街道 刎ケ辻博さん(奈良県)

  奥深い山に囲まれ、風光明媚という言葉がぴったりな奈良県宇陀郡曽爾村で理容業を営む刎ケ辻博さんは、ある生き物を利用して村おこしを行っている。

  その生き物とは「めだか」。

  きっかけは隣家の枡田秀美さんが知人からめだかをもらい受け、その後孵化したものを刎ケ辻さんへ譲ったことだった。刎ケ辻さんと枡田さんは、これを広め、村の観光資産として活用しようと近隣に呼びかけ、1軒1種1水槽でめだかの飼育をスタート、10家庭と1郵便局が参加した。

左から刎ケ辻さん、奥様の静江さん、枡田代表の奥様の好子さん

  同地域は伊勢本街道の山粕宿ルートの真ん中に位置し、観光シーズンには伊勢街道ツアー客で賑わいを見せることから、このツアー客への訴求と地域振興のため、同活動・場所を「めだか街道」と命名しPRを行い、現在では、曽爾村の観光マップにも掲載されているほか、温かい季節にはそれぞれの家々の軒先にめだかの水槽を出して、品評会さながらの風景が展開され、ツアー客の目を楽しませている。

  刎ケ辻さんは「めだかを育てる楽しみは卵がかえった時のうれしさ、さらに育ってきて色が出てくると愛おしくなりますね」と、ホタルダルマ・琥珀スケルトン光など、珍しいめだかを飼育する醍醐味を語る。

  すでに30種類を越す飼育のノウハウと実績を蓄え、インターネットを通じた販売も行っており、平成21年にNHKテレビの「鶴瓶の家族に乾杯」で枡田代表の紅白めだかが紹介されたことで、知名度、販売にも弾みがついたという。

  素晴らしい地域資源を持ちながら過疎にある美しい町や村が参加する「日本で最も美しい村」連合(参加数:36町村3地域)にも加入している曽爾村。今回の取材中にも、近所の方々が絶え間なく刎ケ辻さんの理容店に出入りをし、談笑をしたり、奥様が出したお茶を飲んで帰っていくという光景が見られた。

 昔ながらのサロンがタイムスリップして現れたかのような理容店は、この美しい場所で、今日もコミュニティの中心を担っている。

店舗につながる橋にはめだか街道の看板

 

  ■めだか街道ホームページ
  http://web1.kcn.jp/rouge/medakakaidou/home.html
  (めだかの宅配サービスも行っている。)

(理楽TIMES H23.5.1付けNo.428掲載)

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