Vol.11 工藤千博さん(東京都)~ロボアイパーシステムで都優秀技能者賞

 中高年層を対象にした自然なやわらかいカールでセットが仕上がるアイロンパーマの技術開発により、平成14年度「東京都優秀技能者賞」を受賞したのが、東京都組合員の工藤千博さん(63歳)。

 受賞対象となったのは「ロボアイパーシステム」。ロボットのように誰でもできるアイロンパーマの技術という意味からネーミングしたという。

 工藤さんは日本人の特徴である黒くて硬い毛髪を寝かせ、きれいなカールをつくり出すにはアイロンが適しているのではないかと考えたが、一般にアイロンパーマは熱で髪が傷むと思われがちなところがある。

  そこで、毛髪を痛めないようにするには水分量と熱の関係が重要だと考え、一度温度を設定するとそれ以上、上昇しないというセラミックヒーターの特性を生かしてこれを用い、短時間で確実にカールが長持ちし、高温でも毛髪を傷めないアイロンの開発を目指した。

  試行錯誤の末、約20年かけて完成させたこのアイロンで全国各地を講習し、これによって現在のナチュラルセットブームのさきがけとなった。

  また工藤さんは、全国理容中央学園で講師として理容師の卵たちに技術指導もしているが、「理容の素晴らしい技術を後世に伝えるためにも、難しい技術だけではなく誰でもできるような技術が必要なのです」と持論を述べる。そして、「今後もこのアイロン技術をより高めて理容業の発展に貢献していきたい」と意欲を語ってくれた。

(平成15年9月1日付け№336掲載)

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