理容師免許は国家資格です~諸外国の資格はどうなっているの~

 

日本で理容師になるためには、一般的に理容学校もしくは理容専門学校といわれる養成施設で2年間(昼間課程)学び、卒業後に理容師試験(筆記試験と実技試験)を受験して合格すると理容師免許(資格)が取得できます。なお、美容師の資格を取得する場合にも同様のプロセスを経ることになります。(詳細は理容師への道のコンテンツを参照して下さい)

 

理容と美容の業務内容の違いは、顧客の性別によって区分けされるものではなく、理容師はカット、シェービング、シャンプー、セット等を主たる業務と、また、美容師はパーマ、結髪、化粧等を主たる業務とするものと定義付けられています。
それでは、日本以外の国々では理容師や美容師の資格がどのように位置づけられているのかが気になるところですが、ここに理容・美容業界の国際組織の世界理容美容連盟(CIC)が加盟国を対象に行ったアンケート調査の結果がありますので、その中から5カ国の例をご紹介してみましょう。
なお、アンケートの項目は

A 理容・美容業務を行う場合、何らかの資格(国家資格など)が必要ですか。
B 資格の内容によって、業務内容の違いがありますか。
C 資格を取得するためにはどのような過程を経ますか。
D 貴国では、外国の理容師資格を持っている場合、従業できますか。

の4項目です。

韓国

A 理容師または美容師になるには国家資格が必要。
B 資格を持つ者のみ、規則に応じた内容に従って事業を行うことが許可される。
なお、理容と美容では業務内容に次のような違いがある。
理容=カット、シェービング、シャンプー、ヘアダイ(毛染め)
美容=カット、パーマ、シャンプー、ヘアダイ、メイクアップ、マニキュア
C 資格取得のためには、養成学校で1カリキュラムにつき2300時間学ぶことが必要。その後、国家試験に合格しなければならない。
D 外国の資格を持っている場合も、国の許可を必要とする。

オーストラリア

A ほとんどの訓練は研修によるもので、国の管理下にあり、国立学校での訓練も含まれる。訓練が終了すると許可証を受けるが、この許可証はヘアドレッサーとして働くために必要なものである。ただし、州によっては許可証の所持を要求しないところもある。なお、サロン所有者には資格は必要としない。
B ほとんどのサロンは、性別による区別はない。ヘアドレッサーは両方の業務につき訓練を受ける。州によっては、経験者がサロンの監督をすることを要求されるが、ほとんどが経験に基づくもので、さらに特別な訓練は要求されない。
C 国のカリキュラムがある。訓練は「能力」中心で、そのための試験は必要ではない。その「能力」は、学校の教師が評価するが、場合によっては雇用者が評価することもある。研修期間は通常4年間。全日制学校の訓練は通常1年間。
D 外国資格の場合、出身国の訓練水準がオーストラリアと同等であれば受け入れられる。その能力に疑いのある場合には試験が行われる。

カナダ

A ヘアスタイリストと理容師がある。州によっては協会が試験を扱うところもあるが、すべて国家試験である。
B 州によっては資格の種類を区別せず、すべてヘアスタイリストとしている。
C 私立学校またはカレッジで1500時間の訓練をするか5500時間の研修を行う。オンタリオでは、学校終了後、サロンで1000時間の研修も行わなければならない。
D 外国資格では従業できない。希望者は、カナダの試験を受け、国外で訓練を受けたことを証明しなくてはならない。

イギリス

A イギリスにおけるすべての資格取得は、国家基準に従って任意に行われている。厳正なる保健安全規則によって消費者を保護しており、個人および理容施設が大衆ならびにその他の雇用者を保護する適正な予防策をとることが必要となる。事故が起き、かつ予見可能な危険を回避するための適正な予防策がとられていない場合には、追訴される可能性がある。
B ヘアドレッサーは、顧客の性別に関係なく業務を行い、ビューティトリートメントを行うことができる。しかし、一般的にはヘアドレッシングを主たる業務とし、希望があれば、ビューティトリートメント専門の者を雇用する。なお、ヘアドレッシングとビューティトリートメントの内容は以下のとおり。
・ヘアドレッシング
 カット、シャンプー、セット、パーマ、ヘアダイ、シェービング
 ・ビューティトリートメント
 パック、マッサージ、トーニング、サウナ、日焼け、アロマテラピー
C 資格取得のためには、一定の基準に達していることを示さねばならない。これは試験によって行われるもので、研修時間によるものではない。資格には以下の4段階がある。
 第1段階=ヘアドレッシングのアシスタント
 第2段階=ヘアドレッサー
 第3段階=上級ヘアドレッサーおよび監督者
 第4段階=サロン経営者
 訓練は実習で行われ、3年未満で第3段階に達するのは無理である。
D 外国資格で従事できるが、常にイギリスの保健安全規則に従わなければならない。

フランス

A 理容業務は、就業の資格を定めた法律によって規制されている。サロンを開業するためには、業務免許またはマスター免許を必ず所持していなければならない。これがない場合、店主は技術管理者の試験に合格して、免許の条件を満たし、サロンでの実地業務を保証しなければならない。
B 資格の内容による違いは徐々になくなりつつある。さらに今後は、各県庁が理容美容業免許を交付する。養成内容および資格は徐々に多目的なものとなっている。
C 資格を取得するためには、(1)サロンにおける実習と養成高校での教育、(2)理容師・美容師の期間3年間の研修、の2とおりの方法がある。研修の終了後、研修生は理容師、美容師職業適性証(CAP)段階を受験できる。CAP段階が終了すると、2年間業務に従事し、講義を受けた後、マスター免許(BP)を受験するために教育を続けることができる。CAPおよびBPは国家資格。
D 外国免許では従業できない。フランスで就業を望む外国人理容師・美容師は、職業免許を取得しなければならない。ただし、EC国家については、メンバー国の法律に組み込まれたガイドラインによって、いくつかの条件下において職業往来の自由が規定されている。


 

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