私は、両親の営む理容業を見て育ちました。忙しい日には、有無を言わず床掃きにタオル洗いと、自然にお店の手伝いをしていました。そして、お店に立つときは一人の従業員として、「いらっしゃいませ」から「ありがとうございます」まで、最初は口に出しにくかったけれども、スタッフにならって言っていました。
私の夢は、理容業に入って、競技大会で優勝することでした。しかし、そのことは、そんなに簡単に叶うものではありません。いくら努力しても上手にならない・・・。お店では先生の父の教えが違うのではないだろうか。親子ゆえの難かしさも出て「もうやめようか」と思う自問自答の日々もありました。
そんな時、某スポーツメーカーのCMで、ある陸上選手の一言が、私を変えました。「NO.1になるためには、優勝したいと他の誰よりも強く思うこと。そして計画を立てること。また、誰にも負けないくらい、トレーニングをすることだ」と。私は思いました。みんなが遊んでいるときに、人一倍努力してみよう。教えてもらった事を素直に聞き、自分の目標に向かって計画的に努力してみよう。そう考えると、自然に不思議なエネルギーがわいてきました。
私は、競技大会の雰囲気が大好きです。言葉に言い表せない緊張感。体の底からこみあげる力。そして表彰式の高鳴る鼓動。練習どおりにいかない事もあるけれど、毛髪一本一本の流れに、自分の心を映し出すかのように、髪型を創り出す。私は、そんな競技大会が大好きです。県大会で優勝しないと、全国大会には出場できないけれど、たくさんの先生方の指導を真剣に聞き、いつかは全国大会に出場したいと思っています。
21世紀は、情報技術、IT革命の到来。そして超高齢社会への対応と、理容業界も変革の時代がきているように思います。これまでの「皆で渡ればこわくない」という考え方から、新たな技術サービス。例えば、全国理容連合会の行なっている「ヘアカウンセラー資格認定講習会」や「ヘルパー認定講習会」など、より専門的な理容師として、知識を身につけメニュー化していかなければならないと思います。特に高齢社会をむかえ、お年寄りや障害者の来店しやすい理容店づくりなど積極的に、もっともっと取り組むべきだと思うのです。新世紀の女性理容師として、私は理容エステやメンズネイルを修得して女性ならではの新しい技術、そして人にやさしい理容店づくりをめざしたいと考えています。
今から二年ほど前、私の親友が交通事故にあい、車椅子の生活をよぎなくされました。数センチの段差がのぼれず先に進めなかったり、せっかく行きたい所があっても、車椅子が利用できるトイレがないため中止になったこともあると言います。「もし、理恵がバリアフリーのお店にしたら、私も散髪しに行きたいな」と彼女は言っています。彼女のような人が入りやすい店づくりが今、求められているのです。
あと10数年たてば、65才以上の方が4人に一人と言われています。理容師もヘルパー2級ぐらいの知識を持ち、社会の流れをリードしていくことが必要で、組合に守ってばかりもらうのではなく、自らが創っていくという意識改革をしなければ、社会から取り残されてしまいます。新しい取り組みの「エステシェーブメニュー」により、お客様の満足度百パーセントという最近のテレビニュースを見るたびに、私のめざす理容店はこれだ!と嬉しくなってきます。
私は今、22才。
「あぁ、気持ちよかった。ありがとう。やっぱり理恵ちゃんは、一流の理容師さんだね」そう言われるよう、理容競技大会の優勝をめざし、技術力のアップや人にやさしい理容店づくり、さらには女性ならではの新メニューづくりをめざしてこれからも私は一生懸命頑張り続けたいと思います。