若い人に理容師の
かっこよさを伝えていきたい


池田 そもそも信之さんは、どうして理容の世界に入ったんですか。
高橋 憧れですね。理容師はかっこいいなぁ、と思って。今はかっこいい理容師が少ないのかもしれませんが、当時はオーラがある理容師がたくさんいたんですよ。
池田 そうですか。成功の道に入る前の苦しみを、少し話してくれませんか。辞めたいと思ったこととかはありましたか。
高橋 ないんですよ。人に恵まれて、ああなりたいと思える人が周りにたくさんいて、そのためにはこれをやりたい、あれをやりたいという思いで今までやってきました。しかし、今は理容師に憧れる人が少なくて、理容師が育たなくなってきました。
池田 心配ですか。

ホテルのレストランのようなウエイティングスペースにて。窓の外には美しい庭園が広がる
高橋  この問題が一番心配です。私にはいろんな人たちから学んだ素晴らしいものがあるんですが、継承してもらえる人が少ないんです。よく「先生なんて、幾らでも弟子が入ってくるでしょ」と言われますが、とんでもない。理容師の数が少なくなるということは、理容業界が縮小してしまうということですからね。私が憧れてなった職業ですから、これからは若い人たちに、理容師の仕事の良さを伝えていきたいですね。
池田 僕の考えと共通する部分が多くて、楽しかったです。ありがとうございました。
 一軒家の1階がヘアサロン。
カットスペースには、理容椅子5台をゆったりと設置。
スタッフは高橋さんを含めて6名。全体の約6割は女性客だ
 
対談を終えて……
 信之さんはクリエイティブ・オーナーだ。理容店のオーナーは、店の売り上げばかり気にしなくても、魅力的な人間であれば、店は成功するんだ。
 「少子化で全体のマーケットが小さくなっているからこそ、いい仕事をして、ひとりのお客さまからたくさんお金をいただけるようにすればいい」と、信之さんは言う。本物を提供する店は、マーケットがどうなろうが、大した問題じゃないんだ。すごいよね。
 信之さんに憧れて理容師になる人が増えて、理容業界が活性化することを期待しているよ。(池田)
写真/大社優子