Vol.67 夫婦で守る小さな駅 塚本久夫さん・朝子さん(福井県小浜市)

  海と山に囲まれた自然豊かな福井県小浜市の加斗駅構内で理容店を営む塚本久夫さん・朝子さん夫妻は、駅の清掃や切符の販売など、駅業務を一手に引き受け、市民の足を見守っている。

  塚本さん夫妻は毎朝7時に自宅を出発し、会社や学校に向かう地元住民を見送る。待合所やトイレだけでなく、プラットホームの手入れも行い、朝子さんが植えた花々が乗降客の目を楽しませる。また、海水浴客や待合所で寝泊まりをする旅人との会話など、一期一会の出会いもこの仕事の魅力だと二人は語る。

塚本さん夫妻が経営する駅構内の理容店

 40年以上前から加斗駅の前で理容店を営んでいた塚本さん夫妻。駅が無人になることを知り、地元に貢献したいとの思いから、ボランティアで駅の清掃を始めた。

  転機が訪れたのは、平成7年のこと。塚本さんの理容店は立ち退きが決まっていたが、地元住民の要望で駅舎内に店舗を移し、鉄道会社から切符の販売を任されることとなった。最盛期には一日に300人ほどの利用者がいたというが、現在は50~60人程度に落ち込んでいるという。「街の過疎化や自動車の普及で駅を利用される方は少なくなりましたが、見守る人がいることで、乗降客に安心感が生まれると思います。夏の草刈りや冬の除雪作業などは体力的にきついですが、体が動く限り、駅の景観維持に努めていきたいです」と、久夫さんは語った。

駅の入口

(理楽TIMES H27.5.1付けNo.476掲載)

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