Vol.39 髪に感謝し、職業に誇りを持つことの大切さを説く 児玉善照さん

  釈迦の十大弟子の中に、優波離(ウパーリ=※参照)という元理髪師がいます。戒律をよく守り精通していたことから、「持律第一」の尊者と称されました――そう話してくれたのは、本紙5月号・コーヒーブレイクで紹介した御髪神社を支援する「御髪会」の児玉善照さん。髪から受ける恩恵に感謝し、自らの仕事に誇りを持つことの大切さを説く活動を行っている。

  児玉さんの父上は、大正期から大日本理容協会理容学校(東京)、帝国理髪学校(京都)で教鞭をとり、また自ら日本高等理容学校(現・日本整容専門学校)を設立するなど、理美容教育の確立とその発展に寄与した児玉林三郎氏。昭和36年に御髪神社を創建した中心人物でもある。

  そのような関わりもあり、児玉さんは会社経営のかたわら、理美容関連業への支援に、ひとかたならぬ熱意を注いできた。

  昭和56年には、訪れる人も少なく荒廃する一方だった御髪神社を、私財をなげうって再興するとともに、翌年には神社を支援する御髪会も設立した。

  今年5月、その思いを「LEVEL UP 御髪に感謝」と題した小冊子にまとめ、これまで御髪神社に参詣した人びとに配布することにした。その中では「理・美容師さんがおられて、様々な製品を開発してくれるメーカーがあるから、男性は凛々しく、女性は美しくなれるのです」というメッセージを発信するとともに、優波離や全国の髪関連碑などの情報を紹介している。

  「釆女亮政之、優波離をはじめ素晴らしいルーツをもつ理・美容師さんが仕事に誇りをもち、業界が発展してほしいと願っています」。児玉さんは、今後も理美容業界へのバックアップを続けていきたいと話してくれた。

  ※注:釈迦族に仕える理髪師で、最下位身分の出身だった優波離は、釈迦に願い出て出家が許される。その際、釈迦は「ここではすべての差別などない」と諭し、『人間は平等』という当時としては革命的な教えの良い見本となった。(新潮社「釈迦と十大弟子(西村公朝著)」より)

髪への感謝の重要性と、優波離や髪関連碑などルーツを紹介する「LEVEL UP」

(『理楽TIMES』H.19.6.1付け№381掲載)

Translate »