Vol.38 理容業の原点とは何か、を問いかける作文「さんぱつ」 森太吉雄さん(和歌山県)

「居眠りしてしまうほど気持ちがいい」と話す早稲田誠君と森太吉雄さん

 「ぼくが行っているさんぱつ屋さんは、楽しい話をしてくれるおっちゃんと、いつもニコニコしてるやさしいおばちゃんがしています」――今年2月6日付けの和歌山県地元紙・紀伊民報に「さんぱつ」と題した作文が掲載された。

  作者は小学3年生の早稲田誠君。小中学生を対象とした作文コンクール・西牟婁地方国語研究会第42回創作会で、応募のあった小学生の部555作品の中から入賞作品に選ばれた。

  作文は、夏休みにいつも行っている理容店が休みで、帰り道、お父さんが買った電気バリカンでお母さんに丸刈りにされて嫌だったこと、その後、音楽会が近づいて、いつもの理容店で格好よくしてもらい嬉しかったことなどが活写され、理容店でのシーンでは、「ほんのり温かくてフワッとした石けんを顔や首の回りにつけて、切れ味ばつぐんのカミソリでそってくれます」と鋭い観察眼で綴られていく。

  誠君が「いろいろな話しをしてくれるのが楽しい」と、毎月訪れる「さんぱつ屋さんのおっちゃん」は、田辺市で理容モリを営む森太吉雄さん。

  子ども好きで、昔から子ども客が多いという森さんは、「子どもは大人よりも敏感なところがあります。それだけに私たちが行いをきちんとしなければと教えられることがあります」と話し、接するときには一人の人間として対等に接し、しかも母親と、身嗜みを身につけさせ、いつも食事をともにしていれば非行に走ることはないなど、子育て論までを交わす、地域の世話役としての役割も果たしている。

  作文は、「ぼくは、これからもずっとモリのさんぱつ屋さんへ行こうと思います。おっちゃんとおばちゃんには、元気でさんぱつ屋さんをつづけてほしいです」と結ばれ、森さんと誠君との心のふれあいが、忘れられかけていた理容業の原点を思い起こさせてくれた。

 

(『理楽TIMES』 平成19年4月1日付けNo.379掲載)

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