Vol.37 貴重な建築物を復元・展示 江戸東京たてもの園(東京都小金井市)

 

 古代ギリシャの建築様式「イオニア式」の柱を持つモダンな造り―。
 東京・小金井市の「江戸東京たてもの園」(江戸時代から戦後の邸宅や商店30棟を展示)には、昭和初期に小間物屋(化粧品屋)として営業していた「村上精華堂」の大変瀟洒な建物が保存・展示されている。

ギリシャ神殿風の外観

 自家製ヘアクリームや椿油、香水などを理美容店などに卸していた「村上精華堂」は、アメリカの化粧品を研究していた村上直三郎氏が、昭和3年に台東区池之端に創業した店で、地元の住人からは親しみを込めて「びんづけ油屋」と呼ばれていた。昭和30年の閉店後は建物の所有者が変わり入居者がいない時期もあったが、その美麗な外観が評価され、平成11年に現在の場所に移築されたのだという。
  店があった東京・上野界隈は現在でも理美容関係問屋が数多く見られる地域。舶来職として伝わり、おしゃれの先端として発展してきた理美容室相手の商売ということもあってか、当時近隣には洋館風のモダンな建物が多く見られたが、同店はその中でも特に目を引く存在だったようだ。
  室内には、香水の現物や当時のポマードの作り方なども展示されており、理容創生期の様子が偲ばれる。

化粧品の販売をしていた店頭

江戸東京たてもの園
住所:東京都小金井市桜町3-7-1
℡ :042-388-3300
アクセス: JR 武蔵小金井駅よりバスで約5 分
営業時間: 9 時30 分~ 17 時30 分
入園料:400 円

(理楽TIMES H27.6.1 付No.477掲載)

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