Vol.34 ジャーナル活動と並行して書いた小説で文学賞を受賞 宮越忠夫さん(東京都) 

  昭和30年代の東京を舞台に、大学生の主人公と、ともに被爆者である下宿の先輩の東大生、貸本屋の娘との短い交流を描いた小説「また、夏が過ぎて」。

  昨年の第25回世田谷文学賞・小説部門で二席に輝き、「重い内容を爽やかに描いている」「歴史と個人の接点をとらえた佳品」と、選考委員の青山光二、三田誠広両氏に評されたこの作品の著者は、宮越忠夫さん(ペンネーム・小田忠生)。

  業界紙のサロン流通新聞を発行する理美容流通新聞社の編集企画部長という顔も併せ持つ人だ。

  大学は文学部の出身。在学中は時々、同人誌などに小説を寄稿していたが、卒業後は「書く」ことからは疎遠になった。

  ところが10年ほど前、編集を手伝っていたある会誌の編集長から「書いてみないか」と誘われ、毎号、短編小説を執筆するうちに創作意欲に拍車がかかり、いろいろな文学賞にも応募するようになった。

  そして昨年、世田谷文学賞で入賞に輝いたが、自身の実体験から発展させたストーリーの受賞作が二席止まりだったことから、「今年は一席を目指す」と意気込む。

  アイデアが浮かべばすぐに書きとめるなど、毎日の多忙な仕事の合間にも、宮越さんの創作活動は休むことがない。

  「いずれは、一生懸命がんばっている若手理容師をテーマに書きたい」と話すが、それは業界を離れてからになるそうだ。

授賞式での宮越さん(前列左端)。右から2人目が選考委員の三田誠広氏

 

(平成18年6月1日付けNo.369掲載)

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