Vol.30 代官屋敷の理容室 岡田記念館(栃木県)

 

岡田記念館入口の門

 室町時代から続く栃木の名家・岡田家が、伝統ある家屋や貴重な家財を一般に公開している岡田記念館。江戸の面影を残す重厚な門をくぐって歩を進めると突然、西洋的な外観の理容室が目に飛び込んでくる。
 岡田家の敷地内で異彩を放っているのは「市村床屋」。代官職も任された岡田家の家人や、屋敷に出入りする人々の髪を切る店として地元住民に知られた存在で、断髪令の出された明治4年の敷地図にはすでに、現在の建物で営業していたことが記されているのだとか。
 「一見さんお断り」という頑固なスタイルで営業していたが、岡田家現当主の奥さま・陽子さんによると「6代目の店主が高齢を理由に閉店する平成元年まで、地元に愛され、格式の高さを誇った理容室でした。高度な技術を目当てに、県外から足を運ぶお客さまもいらっしゃったそうです」と、かなりの人気店だったようだ。
 明治・大正期の理容器具が並び、鏡の下には店員が控え部屋から客の来店を確認していたという覗き戸などの珍しい設備を持つ明治の理容店。岡田記念館で往時のサロンの雰囲気を味わってみてはいかがだろうか。

理容室の店内の様子

 

  岡田記念館
  住所/栃木県栃木市嘉右衛門町1-12
  アクセス/東武日光線「新栃木」より徒歩10分
  入場料/800円

 

(理楽TIMES H25.5.1付 No.452掲載)

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