Vol.22 小さな作品が想像をかきたてる つまみかんざし博物館(東京都新宿区)

 

幼い頃に絵本を読んだ時のような、淡い感動を伝えたいという石田毅司さん

 薄い小さな絹のキレを糊付けして作る「つまみかんざし」。正月や七五三、成人式などのお祝いに女性の髪を美しく飾る、この伝統工芸品は、現在でも広く愛用されているが、江戸時代から続く昔ながらの手仕事でかんざしを作る職人は、日本全国でも15人程度しかいない―
 その貴重な技術とかんざしの美しい意匠を堪能できるのが、東京都新宿区の「つまみかんざし博物館」だ。
 同館は、新宿区の「文化財や史跡、伝統産業を担う職人の仕事場をミニ博物館として展示公開し、区民の関心を高める」という計画にのっとり、つまみかんざし職人の石田健次さんが自宅の一部を開放して設けた私設博物館で、館内では入口横のショーケースに展示された作品を、健次さんの息子・毅司さんの解説とともに楽しむことができる。 
 現在の展示は、「宝船」や「梅」、「くす玉」などをかたどったもので、キレをピンセットで折りたたんで糊付けするという工程を、すべて手作業で行ったとは思えないほどの精巧さ。新宿ものづくりマイスターにも選ばれている毅司さんほどの腕前でも、簡単なもので1日に数本程度しか作れないという。
 毅司さんは「つまみかんざしは、誰もが目にしたことがあるものですが、その名称や製法はほとんど知られていません。単に美しいだけでなく、季節を表したものが多いことから、小さな作品から大きな自然へと想像を広げてくれるのも魅力です。ぜひ多くの方に知ってほしいです」と語っており、大正時代の作品の収集など、今後の展示内容の充実にも意欲を見せている。

 

宝船など精巧な作りのかんざしが並ぶ

 

●つまみかんざし博物館
住所/東京都新宿区高田馬場4-23-28 ヒルズISHIDA401
TEL/03-3361-3083
交通/JR線・地下鉄東西線「高田馬場駅」より徒歩5分
開館時間/10:00~17:00
開館日/水・土曜日
入館料/無料

 

(理楽TIMES H23.4.1付No.427掲載)

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