Vol.13 3500点の圧倒的な所蔵数で 刃物の魅力を堪能 埼玉県川口市 昌國利器工匠具博物館

 

縄文時代の石器包丁から最先端医療器具まで幅広い展示品が並ぶ館内。写真パネルは2代目昌國氏

 理容を仕事とする上で刃物は欠かせない道具。その魅力と歴史を幅広く楽しめるのが、埼玉県川口市の昌國利器工匠具博物館だ。
  同館を管理する㈱昌国は、盆栽専用鋏の開発により、それまで植木職人の手にゆだねられていた盆栽の手入れを一般人にまで広めたとされる盆栽道具のパイオニア的存在で、顧客には、宮内庁やタイ国王、ゴンザレス・スペイン元首相などが名を連ねる。盆栽専用鋏を開発した初代川澄昌國氏(1880~1950)の跡を継いだ2代目昌國氏(1923~2002)が、鋏に関する研究開発で1994年に黄綬褒章を受章したことを記念して、刃物全般の歴史を伝えるこの博物館が開館され、現在は3代目昌國氏が館長を務めている。
  館内には、盆栽の手入れ道具はもちろん、大工道具から医療器具にいたるまで約3500点の刃物がバラエティー豊富に揃えられ、その中には理容鋏や剃刀、バリカンなどの展示もある。その一つひとつに館長から丁寧な説明があり、「理容鋏は非常に繊細な作業に使われる道具ですので、材質、つくりともに精度が求められます」などと、刃物の作り手側から見た解説が聞ける。
  「刃物を芸術の域にまで高めた日本刀を見ても分かるように、日本の刃物作りの技術は、昔から大変高度です。日常で使われる刃物は、優れたものほど良く使われ、研がれて禿びてしまって、ほとんど残っていないのが現状ですが、先人の知恵と当時の最新技術が詰まった刃物は、現在でもそのままの意匠で残っているものも多く、見ていて感じるものがあります」と、刃物の魅力を語る館長。
  仕事にも生活にも欠かせないものであり、技術大国・日本で芸術的に完成度を高めた刃物の魅力に改めて触れてみては。

 

理容道具。鋏や剃刀、バリカン、アナトウなどが展示されている。刃物の寄贈も受け付けているとのこと

●昌國利器工匠具博物館

 住所/埼玉県川口市朝日1-5-26

 ℡0480-222-2641

交通/埼玉高速鉄道「川口元郷」より徒歩約10分

 開館/9~16時(土日祝休館)

 入館料/無料

※要予約、団体は30名まで。

 

 

 

(『理楽TIMES』H.21.2.1付No.401掲載)

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