「理容2009メッセージ全国大会」優勝作品

「輝ける未来へ ~理容師として生きる~」

近畿協議会代表(奈良県) 藤川 雅規

 

 「俺は理容師として生きていくんや!」
 私は、あのバブル景気絶頂期の昭和六十三年に立命館大学経営学部を卒業して理容業界に入りました。サラリーマンではなく起業して成功する仕事として、今は亡き父が成功を体で示してくれた理容業を選んだのでした。
 理容業は、国家資格がないとできません。そして結果に手ごたえがあり、努力次第で、いつまでもできる職業です。私の場合、大学を卒業してからの遅いスタートでしたが、子どもさんから上場企業の社長まで、多方面の方達と関わりが持てて、理容業を選んで良かったと感じています。
 しかし、時代と共に理容業界も変わりました。現在の社会は、アメリカ発の金融危機で景気が後退するなど経済状況は厳しさを増しています。加えて大企業の終身雇用制と年功序列制が機能していた時代ではなくなりました。景気が悪くなるとリストラに脅かされる。そんな時代になってしまいました。 
 時代の変化は理容業界も例外ではありません。これからの理容を考えるうえで、避けては通れない問題があります。「業務独占」・「後継者」・「子どもの理容店離れ」の3つです。
 理容技術の基本は刈上げとシェービングであることは言うまでもありません。しかし、こうした高度な技術の維持には、国家資格に基づく業務独占の維持が不可欠です。
 業務独占の維持とは、簡単に言えば、無免許営業の禁止です。今後アウトサロンつまり非組合店だけでなく、無免許の人間が興味本位で出店する危惧まであります。こうした業者が不十分な技術でサービスを行い、安かろう、悪かろうといった「商売」をやっていくことは、単にお客様を取られるかどうかではなく、理容業界全体の信用を下げることになりかねないのです。それよりも高い技術と業務独占の維持はお客様に満足を与え、目先の儲けに留まらない業界全体の利益と社員への還元になり、やる気や満足に繋がるのです。また全国理容連合会が組合員の増加を目指した取り組みを奨めている様に、組合員以外にも理容組合の魅力や業務独占の必要性を伝えるべきです。 
 私の店では、お客様と社員のことを考え、店のコンセプトとして、「お客様一人一人の満足の為に」を掲げています。満足の為にということは、心のおもてなしはもちろんですが、お客様のニーズや欲求を察知し、より必要とされるメニューを提供することでもあるのです。
 理容業は男性客がメインです。カット代金はその家庭の必要経費であると思い、自分の小遣いの範囲でできるメニューの提供を考えてみました。コースメニューではなく、今までのメニュー+五〇〇円、ワンコインメニューを取り入れ、その後も所要時間や内容を研究しました。その結果、お客様からも好評いただき、お顔の角質取りや、頭皮の毛穴のクレンジングなど、今では、十数種類のメニューに増えるなど当店の看板メニューの一つとなっています。
 こういうのは、いろいろなメニューを研究しての一例です。ともかく質の高い技術を提供して、質の高いお客様に来ていただく。そのお客様は、また質の高いお客様を店に紹介してくれます。そして自分の子どもさんも連れてきてくれるようになります。高い技術と満足感によって得られた利益を社員に還元する。まさに店とお客様が一緒になることで、子どもの理容店離れもなくなります。それに新しい社員すなわち後継者も将来を求め魅力的な理容業界に入ってくることで後継者問題も解決されると思います。
 私たちは、理容師になるために専門学校に行き、決して安くない授業料を払い、国家試験に合格して免許を取得します。その後も休みの日には組合講習などで勉強する。というように、誰も決して簡単にできる仕事ではありません。
 何年という下積みを得て身につけた「かけがえのない技術」を大切にしたいと思いませんか? 理容業界発展の為に技を磨き、質の高い技術を売っていきましょう!  
 そうすることで理容業界も今以上の社会的地位が確立され、さらに、お客様満足に社員満足が加わり労働条件も向上するはずです。
 私は理容業を選んで良かった!
 そして未来のあるものだと確信します!
 皆さんも一緒に頑張りましょう!