「理容2007メッセージ全国大会」優勝作品

「お客さまが悦ぶことならなんだってやろう」

中国協議会代表(鳥取県組合) 鳥谷 一弘

 

 「お客さまが悦ぶことならなんだってやろう!」これが私のミッションです。
 私の店がある用瀬町は、人口4千人足らずの山間の小さな町ですが、毎日楽しく「ワクワク」しながら商売させていただいております。そう「ワクワク」しながら・・・
 4年前の冬、ある先輩から「商売の仕組み」について書かれた1冊の本をプレゼントしてもらいました。昔、中学2年生ではまった「横溝正史シリーズ」以来の読書となることに少し重みを感じながら読んだ本ではありましたが、この本のおかげで自分は理容師であるとともに「商人」でもあることに、気づかされました。
 時はまさに平成不況の真只中!私の店もご他聞にもれず低迷していました。
 「お客さんも景気がわるいけぇなぁ。」
 「市内に低料金の大型店ができたけぇ、しょうがないわ。」
 当時の私は、他人のせいにばかりしていました。
 そんな私にとってこの1冊の本との出会いは、まさに商売のターニングポイントになったのです。儲けの「仕組み」その動力は「ひとの悦び」です。相手にあたえた「悦び」は必ず何かによって自分に返ってきます。「技術とか商品を売る仕組み」ではなく「ひと」つまり「お客さまを動かす仕組み」が大切なのです。それはあたかも、好きになった人と恋愛関係になってゴールするまでのシナリオに似ています。
 私はいったいどれだけ、お客さまを悦ばせていたのだろうか?恋人を扱うように、手を変え、品を変え、相手を飽きさせないような技をどれだけ見せることが出来ていたのだろうか?考えれば考えるほど、それまでの自分を追い詰めるような、なんとも言えない気持ちに駆られました。
 「よし、とにかく動きだそう!」
 私は、いてもたってもいられなくなり、本の中で紹介されている他業種の経営者達の成功事例を参考に実践してみることにしました。
 私がまず始めたのは「既存のお客さまと徹底的に接触する」ということでした。恋人も長い間会わないでいると関係が冷めていきますよねぇ。ですから、高頻度かつ継続的にというのがポイントです。でもどうやって?お客さまによって、来店サイクルはまちまちです。1ヶ月の人もいらっしゃれば、1年の人もはっきりいって不可能です。そこで「ニューズレター」を作ってみました。これは、手作り新聞を毎月お客さまのお宅にお届けして、その紙面で色々な情報を発信・提供していこうというものです。
 まず、オーナーである私自身を知ってもらう為に、私の生い立ちから趣味、特技、理容業への思いについて、レベルゼロから書き綴ってみました。それから後はお客さまや地域の話題など、身近な話からどんどん展開を広げていきました。
 さらに「毎日がイベント」を合言葉に2ヶ月先まで店独自のカレンダーをこのニューズレターの中に載せ「ぶるぶるマッサージの日」「極楽シャンプーの日」などなど、お試しメニューが体験できる日や「手作りスウィーツプレゼントの日」「あなたの体重の分だけキャッシュバックの日」など、とにかくお客さまに悦んでもらう企画を用意しました。
 カレンダーを見ながら、興味のある日に来店されるお客さまも少なくありません。「毎月お客さまに会わなくても、お客さまに接触できる」このニューズレターは大好評で、日に日にお客さまとの距離が、ぐっと近くなっていく気がしました。
 そうなると、今度は営業がしやすくなるんですよ。そう「感動」「悦び」を味わってしまったお客さまは「何か」でお返しがしたくて、したくてしょうがないのです。
 「お返し」の方法、それは私の店で、技術や商品を高く買っていただく「儲けさせて頂く」事なのです。
 皆さん。技を磨いていますか?一生懸命磨いた匠の技を安売りしたらダメです。
 お客さまはお金で還元して欲しいなどとは思われていません。きっと、新たな悦びで還元して欲しいと思われているはずです。どんな方法でもいい。一番、自分にあったやり方でとにかく動き出してみませんか!
 お客さまも、私たちも「ワクワク」するような、そんな商売をやろうではありませんか。